こんにちは。一日一服はお茶を飲みたい松下です。
今日は、初釜で掛けたお軸の「松樹千年翠」についてお話をします。
読み方は、しょうじゅ せんねんのみどりです。
1036年に昔の中国で書かれた、禅宗の史書「天聖広灯録」(てんしょうこうとうろく)の中にある言葉です。
今年は2022年ですので、今から986年前ですね。
日本で言うと、平安時代で、紫式部が「源氏物語」を書いた25年後です。
栄華を極めた藤原道長が亡くなった約10年後。
そのくらいの時期に書かれた書物です。
その「天聖広灯録」の中に、「松樹千年翠 不入時人意」(松樹千年の翠、時の人の意に入らず)という一節があり、その言葉に拠る禅語です。
意味としては、
松は幾多の風雪にも屈することなく緑を保ち続けているけれども、その堅固なあり方に世の人々は気がつかない
という意味です。
どんな時も変わらない、不変の緑を保ち続ける松。
そんな松の姿に節操と生命力を見出し、寂然として佇む風格を讃えています。
それは、人に対しても同じで
どのような状況になろうとも、すっくと立ち続けることが出来る人は松のような不変の強さを持った人と言えます。
そして、不変と言っても、実は松は常に生え変わりながらその姿を保っています。
つまり、常に変化を続けることで、不変の姿を保っているのです。
何もしなければ、不変の姿にはなれない。
やはり、そこには見えない絶え間ない努力があるのではと思います。
お茶席では
いつまでも変わらない松の緑に託して、長寿や多幸を祈る場合、特にお正月の席などに多く用いられる句です。
何か嫌なことがあったりすると、気分が落ち込んだりするけれど、いかなる時も、すっくと立っていられる強さを持ちたいものです。
ではでは、また!
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